ビジネス心理学とは

03/02/2018

世界的な潮流になってきている「ビジネス心理学」

「小売業は心理学である」。

これは、鈴木敏文さんがセブン&アイ・ホールディングスのCEOだった頃によくおっしゃっていた言葉です。ビジネスで成功を収めるためには「人の心の動き」を知ることが大切だと教えてくだっていたわけです。

「ビジネス心理学」とは、まさにこの言葉通り、心理学や脳科学、行動経済学といった「心の科学」を統合して、ビジネスの現場で実務にどう活かすかを研究する学問で、現在、世界的な潮流になってきています。

たとえば、2017年のノーベル経済学賞を受賞したのは、行動経済学の権威、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授でした。行動経済学とは、簡単に言ってしまうと「経済行動について心理学を交えて分析する」学問です。

私も所属する「日本ビジネス心理学会」は、社会心理学、特に人間関係の心理学の日本での第一人者である斎藤孝教授を会長として、日々「どのようにしたら心理学をより有効にビジネスに活かすことができるか?」をビジネスの現場で研究を続けています。

 

ビジネスのあらゆる場面で使える「心の詰将棋」

私は学者ではなく中小企業の経営者ですから、売上アップですとか失客率の低減、従業員のモチベーションアップなど、悩んでいることを解決するためや、望んだ結果を得るために心理学を取り入れました。

どんなビジネスのどんな場面でも「人」を相手にすることだけは変わりません。であれば、人の心の動きを知っておくこと、もっと言うなら「心の先読み」をして予め対応策を準備しておくことが課題を克服や目標を達成に繋がると考えたからです。

実際に私は、セールスやマネジメント、販売促進や商品開発、そして資金調達などビジネス上のあるゆる場面に心理学を取り入れました。はじめは上手くいきませんでしたが、相手の心の動きを先取りして考え、先回りして準備する「コツ」が分かってくるにつれ、徐々に結果に結びつきはじめ、最後には望んでいた成果を手に入れることができました。

私がお伝えする「ビジネス心理学」は、学問としての心理学ではありません。私が実際に現場で使いながらまとめあげた「生きた心理学」であり、相手の心の動きを先読みして備える「心の詰将棋」です。

 

私が「ビジネス心理」に出会ったのはドン底だった

ひとつだけ私の体験談をお話させてください。

2007年12月、私の店舗目の前に、眼鏡業界のユニクロと呼ばれている存在で、圧倒的な安さとトレンドの沿ったファッション性を武器に業績を伸ばしていた眼鏡チェーン店が出店をしてきました。その店と私の店はほぼ同じ商品構成だったので、「自店とほぼ同じ商品を20%安く売る、売り場面積2倍の店舗」が目の前に来たということです。

その店がオープンすると、私の店は悲鳴を上げました。

売上がピークの半分近くに落ち、日々資金繰りに追われるようになって心が病んでいきました。苦しかった。金銭面だけでなく、必死で頭を絞ってやったすべての施策が安い価格や圧倒的な品揃えに蹴散らされる現実に、自分の人生が否定された気持ちになり、打開策も見えず、私は静かに壊れていきました。

おかしくもないのに、笑うようになりました。 自分でも気がつかないうちに涙を流すようになりました。 突然笑い出したり、唇の端にしょっぱい味を感じて自分が泣いていることに気づく、そんな真っ暗な毎日が来る日も来る日も繰り返されました。

そこに降りてきた一本のクモの糸。
それが「ビジネス心理学」だったのです。

私は「もうこれしかない」と必死で学び、実践し、何度も失敗し、その度にやり方を変え、最終的にセールストークや広告や店内装飾やセールやキャンペーンや社員教育に活かしました。

具体的な事例はコラムに書きましたが、「ビジネス心理学」を実際の商いに活用する「コツ」を掴むにつれて結果が出始め、一年経たないうちに元の売上にまで戻り、そこからも売上は伸び続け、奇跡のV字回復を遂げることができたのです。

それから時は流れ。
チェーン店のオープンから11年が経過した2018年2月。
チェーン店が、閉店しました。

11年に渡る長き闘いに、私の店が勝ったのです! 3,000名以上の従業員を抱える上場企業を、社員数8名の中小企業が追い出したのです! この勝利をもたらしたのは間違いなく「ビジネス心理学」です。

私は自身のこの体験から、そして世界の潮流から「ビジネス心理学」の重要性を実感しています。そして、お客さまとの距離が近い我々中小企業こそ「ビジネス心理学」を学び取り入れるべきだとの信念を持ち、「ビジネス心理学」を一人でも多くの方にお伝えするため講師活動をしています。


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